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市民後見人が人の歴史を知る機会を与えてくれた

「成年後見人」って聞いたことありますか?

後見人は個人の意思決定が未熟だったり、問題がある人に代わって本人に有利なような判断をする人のことです。

未成年の人に付くのが未成年後見人。

成人の人に付くのが成年後見人。

昔は未成年に付く後見人がほとんどでしたが、今は認知症で判断が出来ない高齢者が増え成年後見人が増えています。

成年後見人は弁護士とか司法書士が付く場合が多いのですが、裁判所が認めれば一般の人でもなれます。

一般の人が後見人になった場合はその人を監督する立場で成年後見監督人(弁護士など)という人がつきます。

市民後見人が初対面の人を集めてくれた

前置きが大分長くなっています。

法律のことって普段あまり考えたくない事ばかりなので面白くありませんね。

もう少しお付き合いください。お願いします。

会食会福左右衛門の施設に入居していた認知症の人に市民後見人がついていた人がいました。

その方(Aさん)は先日亡くなられ、後見人が以前住んでいた近所の人など関係者を呼んで葬儀を取り仕切ってくれたのです。

Aさんは独身を貫き預貯金も結構あったらしいのです。

全部で9人集まったのですが、その中に成年後見監督人の弁護士さんも出席していました。

その葬儀の席は後見人以外は初対面の人ばかりです。

人に歴史あり

初対面の人が集まったのですがAさんの時間軸を追って話がつながっていくのには驚きました。

具体的にいうと、Aさんの最後の日以前の5年間を知るのは私です。

その前の2年間を知るのは毎日のように行っていたデイサービスの方です。

その前の2年間は在宅のヘルパーさんです。

それ以前は近所の方です。

「人に歴史あり」とはよく言い当ているな、とこのとき思いました。

私はAさんの最後の5年間しか知らないので、その間みてきたものがAさんの人間像です。

Aさんという人間は私がみてきた5年間だけで片付けていいものではなかったことが、ここでわかったのです。

Aさんのその前を知る人から、好きだったもの、嫌いだったもの、エピソードなどを聞くとAさんの人間像に厚みを増すというか、本当の人間像に近かづいていけるのです。

最後は認知症なものですから、笑うか、怒るかの2面しか残っていませんでした。

以前を知る人から話しを聞けたので、なんであの時Aさんが笑ったのか、なんであんなことくらいでAさんは怒ったのがわかってとっても良い場でした。

とむらうはともに語りあうことかもしれない

初対面のどうしの人がAさんの話題で一瞬にして親しくなったのです。

「弔う(とむらう)」の語源はよく知りませんが、故人に対してともに語り合って天国にいってもらうという意味が含まれているよう気がこの時したのです。

成年後見監督人の弁護士も

「後見人が付く人は孤独な人が多くて関係者の出席者がないこと(お葬式)が多いのですが、こんなに大勢の方Aさんのことを語ってくれたのは、成年後制度の成功例を見るようです」

と言ってくれました。

「最後はお金じゃないな、やっぱり人間性なんだよな」

と感じた一日でした。

 

では、またでござる。

 

 

 

 

 

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