どうも介護保険制度というのは苦手です。
どこが苦手かというと、お年寄りの状態を何から何まで評価して、点数化するところがです。
ケアマネジャーの研修に通ってます
ケアマネジャー(介護支援専門員)の資格を持っているのですが、5年に一度の更新制になってしまったので、半ば仕方なく老朽化した頭を引っさげて研修に通ってます。
ケアマネージャーの試験の最近の合格率は15%代というとても難しい試験になっています。
私がとった17年前は今ほど大変じゃなかったのですけどねぇ。
この研修を受講しているは昨年の10月に難関を勝ち抜いて合格した人、それと免許の期限が切れで再度研修をやらされるものと一緒なものですから、熱意に差があります。
120人くらいが受講してますが、研修4日目までで再研修の人には会ったのは一人しかいません。
ほとんどが難関を突破してきた優秀な人ばかりです。
周りを見渡した感じ、どうみても一番の劣等生、これは間違いないところです。
なんと、会場は自動車教習所です
第4日目の朝テレビでやっていた星座占いが最低だったので、いや~な気持ちで会場に向かいました。
会場は、自動車教習所です。
若者の減少で車の免許を取る人が少なくなったせいか、会議室を研修の場として貸し出しているみたいです。
教習所が生き残るために、この手があったかと思わず拍手ものです。
開始20分前に会場へ入ると、3人がけのテーブルの両端はすでに人で埋まっています。
しかたない、真ん中の席で良さそうなところを探します。
恐る恐る声をかけると、快く真ん中へ入れてもらえました。
なんと、座ると同時にお隣さんからアメとチョコの差し入れまでいただき、テレビでの占いを裏切るラッキーな日の始まりです。
介護保険制度って
話を冒頭の介護保険制度が苦手だ、という内容に戻しましょう。
お年寄りが体の衰えや認知症になると、国から介護費用に補助が受けられます。
お医者さんかかった時使うのは医療保険ですが、家族の誰かが介護が必要になった時使えるのが介護保険です。
介護が必要だという人がいたら役所に申請します。
しばらくするとケアマネージャーの資格を持った調査員がきて、根掘り葉掘り質問します。
「寝返りができますか?」「椅子から立ち上がることができますか?」「衣類のボタンはかけられますか?」など70項目以上を質問するわけです。
すると、そのデータと掛かりつけの医者の診断データをコンピュターにかけて介護度がはじき出されます。
そして要支援1,2、介護1から介護5(最重度)というように分類されます。
これで終わりではなくコンピュータの結果を今度は会議にはかります。
「機械だけで決めちゃ人間味がないよね」
ということです。
「8割がたコーンピューがはじき出した結果(介護度)になりまね、コンピューターは正確です」
講義した先生は自慢げに言ってました。
「うん・・・?それってコンピューターで出てきた内容を人間が鵜呑みにしているだけじゃの?」
すぐ物事を斜めに見てしまう曲がった性格が顔をだしました。
人間は考えも行動も立体的だと思っています。
その人の置かれた環境の違い、その人のタイプ、その時の状態でいつも違います。
けっして数値化してとりあえずオッケーということはありません。
じゃあ、数値化以外に何があるんだと言われれば、困ってしまいますけど。
だけど、この受けている研修の内容ときたら
「いかに数値化、分類化できる人ほど優秀な人間ですよ」
「専門職であるケアマネジャーは立体的に物事をとらちゃいけませんよ」
というものなんですもの。
介護保険制度が苦手な理由
研修の内容を受けて本気でケアマネジャーの仕事をすると、介護の仕事の魅力は何もなくなってしまうように思えてきてしまったのです。
介護の仕事の魅力は「人間味」です。
どれだけその人の生活に共感できるか。
どれだけその人の生きてきた歴史に感銘できるか。
どれだけ残された人生を健やかに生きてもらうようお手伝いできるか。
「人間味のかたまり」が介護の仕事です。
小学生から数字で評価されはじめ、中学、高校、大学、職業、最後の最後まで数字で評価、管理される世の中になってしまいました。
最後くらい「人間味」だけで生きられる世の中が来ればいいなあと思っています。
介護保険制度は苦手なのはこのあたりに理由がありそうです。
では、またでござる。