日が短くなり、朝晩の空気にひんやりとした気配を感じるようになると、自然と頭に浮かぶのが「冬支度」という言葉です。
我が家にとって冬支度とは、暖房器具を出すことではなく、薪ストーブを迎える準備を始めることでもあります。
今年も、そんな季節がやってきました。
薪ストーブの冬は、準備から始まる
薪ストーブのある暮らしは、スイッチひとつで暖まる生活とは少し違います。
冬を迎える前から、すでに暮らしは動き出しています。
まずは薪の確認。今年分の薪は足りているか、乾燥具合はどうか。
足りなければ、薪割りをして補充する必要があります。
そこで活躍するのがチェンソーです。
長く使ってきた道具ですが、いよいよ本格的な薪づくり用に新しいものを迎えました。
薪ストーブの冬は、道具を整えるところから始まると言っても過言ではありません。

薪を作る時間も、冬支度の一部
薪割りは決して楽な作業ではありません。
丸太を運び、割り、薪棚に積み上げる。体力も時間も必要です。
それでも、この作業をしていると不思議と気持ちが整ってきます。
黙々と木に向き合い、割れた薪が積み上がっていく様子を見ると、「これで冬を迎えられる」という安心感が生まれます。
薪ストーブの冬支度は、単なる準備作業ではなく、
冬へ向かう気持ちをつくる時間なのかもしれません。

薪ストーブの暖かさは、数字では測れない
薪ストーブの暖かさは、エアコンやファンヒーターとは質が違います。
部屋全体がじんわりと温まり、身体の芯まで熱が届くような感覚があります。
炎の揺らぎ、薪がはぜる音、ほのかに漂う木の香り。
視覚・聴覚・嗅覚すべてで「暖かさ」を感じられるのが、薪ストーブの魅力です。
火を見つめていると、何も考えずにぼんやりする時間が生まれます。
慌ただしい日常の中で、これほど贅沢な時間はなかなかありません。

手間があるからこそ、冬が特別になる
もちろん、薪ストーブは便利な暖房器具ではありません。
薪の調達、薪割り、灰の処理、煙突掃除など、手間は確実にかかります。
正直に言えば、「楽だから薪ストーブを選んだ」という人は少ないでしょう。
それでも薪ストーブを使い続ける理由は、その手間を上回る価値があるからです。
火をおこし、薪をくべ、暖かさを保つ。
この一連の動作が、冬と向き合っている実感を与えてくれます。

薪ストーブは、冬を楽しむための道具
薪ストーブは、ただ寒さをしのぐための道具ではありません。
冬という季節を、少し丁寧に、少し豊かに過ごすための道具です。
薪を作り、火を入れ、炎を眺めながら過ごす時間は、
「冬は寒くてつらいもの」という考えを、「冬も悪くない」に変えてくれます。
今年の冬も、薪ストーブとともに静かな時間を重ねていくつもりです。
火を囲みながら、ゆっくりと季節を味わいながら。

おわりに
冬支度とは、単に寒さへの備えではなく、
どんな冬を過ごしたいかを考えることなのだと思います。
薪ストーブに火を入れる瞬間、
「ああ、今年も冬が来たな」と静かに感じられる暮らし。
それが、我が家の冬支度です。



