自治会は必要だと思いますか?
もう要らなくなってきているんじゃないかな、ひそかに思っています。
自治会に加入していない
成年後見(身内のいないお年寄の財産管理など)の仕事をしている司法書士の人と時々飲む事があります。
先日は私が車だったもので、ファミレスでの食事となってしまいました。
スパゲティとピザの「食べ放題」というメタボ年代にはご法度なメニューを選択して会話は始まりました。
成年後見制度の講演を人前ですることが多いのだが、話の締めくくりが「しっくり」こないのだと司法書士の彼はいうのです。
高齢者などへ向けての話の最後は
「地域の支え合いがいっそう大事になります」
とか
「自治会に加入して地域から孤立しないようにすることが大切です」
とかで締めくくっていると言うのです。
別に「変な」ではなさそうです。
どうしてなのか聞いてみました。
「・・・・・・じつは、自治会に入ってないんだ」
おおっ、ちょっとしたカミングアウトです。
一戸建てに住んでいるけど自治会に加入していないというのです。
間をおいてから私は言いました。
「入ってなくていいんじゃないの」
と日頃、思っていることを込めて答えました。
自治会は時代遅れ
日頃の思いとは「自治会は時代遅れになってしまってもう存在意義をなくしてしまっている」と思っていることです。
なぜ、そう思っているか?
日本全体が「都市化」してしまったからなのです。
都市化というとビルが建ったり人が集まった状態を考えがちですがそれだけではありません。
都市には情報がビルが林立するようにたくさんあるのです。
知りたいこと、困りごとがあっても、都市は直ぐに情報が手に入ります。
司法書士や弁護士や精神科医などが困りごとを解決してくれる人達は情報源です。
かたや、田舎というか地方ではそういった人に相談するのは数が少ないので大変なものがあります。
情報が不足しているわけです。
ですが、ここ十年で状況は急激に変わっていますよね。
理由はおおよそ察しはつくと思います。
「インターネット」がそれです。
「長老の知恵」が要らななってしまった
地方は知りたいこと、相談ごとは年長の人に聞いて解決する「長老の知恵」をずっと必要としていました。
都市では「長老の知恵」を高度成長の昭和の時代にすでに捨てています。
インターネットの普及により日本全体いや世界全体で「長老の知恵」は要らなくなってきているのです。
目を家庭内に移してみても、子育てのために必要だった「おばあちゃんの知恵」ですら要らなくなっているくらいなのです。
こんな便利なツール(インターネット)が出現した以上、長老に頼る人などどこにもいません。
災害の時だけテレビのコメンテーターは自治組織を強調する
狩猟、農耕、領地争い、地震、火災、戦争と同じ場所に住む仲間と協力しあわなければ生きられない時代が太古からずっと続いてきました。
身の安全と困りごと解決のために地域の絆を大切にしてきたわけです。
日本では身の安全はかなり確保されています。
地域のつながりが必要なのは地域全体で安全がおびやかされた時です。
具体的には地震や水害などで身に危険が及んだ時だけです。
テレビのコメンテーターだって災害の時だけ地域のつながりを強調します。
たぶんあの人達だって自治会などには入っていないと思いますけど。
高齢社会なのに自治会加入は減っている
これからの時代「地域のつながりが大切」と思ってしまいます。
でも、実際にそうなっていません。
なぜなんでしょうか?
「高齢社会の到来」が大きな理由だと思います。
はっきりいうと高齢は「死」と隣り合わせです。
災害で身の危険を感じることも「死」に近い事態です。
同じ「死」に接近した形ですがこの二つは違います。
個人個人が別々に身の危険を感じる場合と集団や民族が一度に身の危険を感じる場合とでは違うのです。
自治組織を必要とするのは後者の場合です。
高齢社会が進展しているのに自治組織の加入率が減少しているのは集団や民族の危機ではあるけれど、災害や戦争のように緊急性を感じていないからなのです。
家族葬が増加と地域のつながり
人間社会は発達しすぎてしまいました。
地域で身の安全を確保する集団を必要としなくなってしまったのです。
集団の中の一員が死を迎えると葬式に参列したのは自分たちの結束を確認する意味も含まれていました。
もうその意味合いも薄くなっているので隣近所で大勢が参列するお葬式はめずらしくなったのです。
家族葬が標準になりつつあるのは「安全を確保する必要」も「長老の知恵」必要なくなってきたからなのだと思っています。
人間の生活様式もビッグバン宇宙かも
さて、だいぶ長くなってきたのでメタボおやじがピザをぱくついているファミレスに場面を戻しましょう。
ソフトバンクの孫正義さんがインターネットを「農業革命」「産業革命」に次ぐ「情報革命」と呼んでいるのもうなずけませんか?と司法書士の先生にいうと
「ビッグバン宇宙だな」
の感想が返ってきました。
そうです、人間社会も個体であったものが分解して拡散していっているのです。