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私たちのまわりは境界線だらけ Part1 - 風が福左右衛門

哲学的

私たちのまわりは境界線だらけ Part1

 

ここ10年で仕事の分業化は格段に進みました。

皆さんの周りの仕事環境はいかがですか。

老人ホームの中の仕事も介護士、看護師、事務、厨房、清掃など仕事を分業化して介護をしています。

昨日、老人ホームの職場で介護士さんから「どこからどこまでが私達の仕事ですか?境界はどこですか?はっきり示してください!」と強く迫られてしまったのです。

「境界線なんか無いから。お互いの仕事が重なりあうよう、カバーし合えばいいと思うよ」

と答えると

「そんな曖昧な答えでごまかすんですか」

「いやいや、まあまあ、落ち着いて」

と、こんな感じです。

老人ホームの仕事はお年寄りという人間を相手にしているものですから、仕事がかぶる部分が随所に出てきてしまうのです。

自動車や家電など工業製品の製造ならパーツを所定の位置に取り付ければ仕事の責任は果たせた、と目に見える形で現れます。

しかし介護はちょっと違うところがあるのです。

昨日の内容をもう少し細かく説明します。

お茶や味噌汁を飲む場合、飲み込みが悪くてむせこむお年寄りには、トロミといって水分がサラッとしたゼリー状になるような製品を使ってむせこみを防ぎます。

そのトロミ入りのお茶が飲み残しで残った場合、湯のみ茶碗の底にこびりついてしまうのです。

さあ、そこからです。

厨房の人が介護職員に向かって

「普通の湯飲み茶碗は食洗機で綺麗になるけどトロミの入った湯飲み茶碗はこびりついた汚れが落ちないから介護の職員さんが手洗いしてから洗い場へもってきて!」

と言ったそうなのです。

そこで介護の職員さんたちは

「綺麗な食器で食事やお茶を提供するのは厨房の人の仕事でしょ!」

となって、前段の抗議が私のところにきたのです。

介護現場ではこういった些細な境界の線引作業で毎日が大仕事なのです。

大事なのは入居者のお年寄りなのですから、仕事の領域はお互いにかぶるのが当然で、そこには境界線など無く曖昧なグラデーションとなっているはずです。

でも当人たちは境界線を引きたいようです。

なぜ、境界線をひきたがるのでしょうか?

介護の仕事ができて本格化したはここ30年ほどではないでしょうか。

それまでは介護は家庭で家族が看るものでした。

分業などとは程遠い一対一のものです。

在宅介護という国の方針はあるものの介護は家庭から外へ出ました。

介護が産業となった瞬間です。

産業と分業はほとんどイコールの関係ですからまだ30年あまりの介護業界は分業の線引が曖昧です。

私など曖昧でいいと思うのですが、境界線が存在した方が安心して仕事ができると思っていいる人がほとんどみたいです。

介護業界ではこんな理由で境界線を引きたいようなのですが、実は境界線を引くというのは業界だけの問題では無く、全部の人の問題なのです。

 

人間は誰しも境界線を引いて自己、自分というもの存在を確認しています。

自分と自分以外そこには境界線が存在しています。

背が高いほうか、低いほうか。

私は175センチあるので比較的高い方なので、線を引きます。

昭和生まれなので、平成や大正生まれと違うので、線を引きます。

男か女か、配偶者はいるかいないか、メガネはかけているかいなか、すべて線を引いて区別しています。

目に見えるもの以外に、神は存在するかしないか、といった宗教的な内容。自分は裕福か貧乏かなど経済的概念。幸せかそうでないかという幸福感など自分の存在を自分で線を引いて自己を決定しています。

目に見えるもの、概念的なものすべてに縦、横、上、下と立体的に境界線を引いて、内側に残った部分が自己、自分というわけです。

すべての人間が境界線を引いて自己を確認して生きているなら、人間の集合体である会社の中に境界線が存在するのも当然といえば当然です。

班、係、課、部、支店、本店あらゆるところに境界線は存在します。

冒頭の介護士さんの「境界線をはっきりしてください!」という発言も当然のことなのです。

境界線の話は奥が深いので次回またPart2で語らせていただきます。

 

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