2016年8月8日ほど感情の抑揚が大きい日はなかった。
心理状態によって毒をはくメールを書いてしまう
21歳の夜勤専門の介護職員を採用したのですが一日勤務しただけで、辞めると言ってきたのです。
彼に丁寧に理由を聞くとその場では答なかったのですが、翌日になってから施設のやり方を非難するメールが届いたのです。
さあ、大変です。
頭の上にヤカンを載せたら瞬時に沸騰しそうな強烈な憤りが襲ってきました。
「働きたいと申しでた人間は最低3日くらい勤務してから意見をいうのが最低のルールです」
と毒を込めて「最低」を強調して返信メールを送ったのです。
そしたら直ぐに返信がきました。
「あなたは職員の声を聞く耳をもったことがあるのでしょうか。最低の人間でも耳を傾けることくらいします」
と返ってきたのです。
「ふざけやがって!」
とは、なったのですが、この日は不思議にも冷静な自分があったのです。
「これ以上やったら大人げないよ」ともう一人の自分が言ったのに従いました。
おかげで頭の上のヤカンも沸騰せずにすんだのでした。
私と机を並べている同僚はよく分かっているとおもうのですが、この時ある難問にぶち当たりイライラで心理状態が最悪でした。
そこに一日しか勤務しないで、分かったような口を利く21歳からのメールに一瞬、激怒してしまったわけです。
ステート、レベル、タイプ、ライン、象限
人が取る行動はその時の心理状態(ステート)によって大きく左右します。
アメリカの思想家ケン・ウィルバーは社会で物事が決定していく過程には、人間の心理状態(ステート)に加えてその人のレベル(発達段階)や性格(タイプ)や知性・能力(ライン)やその場の雰囲気(象限)の五つが関わっていると言っています。
冷静な心理状態だったら21歳の将来ある若者に毒など吐かなかったのにな、と思ったのでした。
天皇陛下のお言葉は日本人の集合的無意識に直接響く
さて、そんなことがあった日を終えて車で帰る途中ラジオをつけたのです。
すると、天皇陛下の生前退位のメッセージが流れてきました。
この日は生前退位の意向をの述べられる「お言葉」の日だったのです。
天皇陛下は心底、日本国民のことを思っていることがこの「お言葉」からありありと感じる事ができました。
「日本全国をまわってみて、どこへ行っても地域愛、家族愛をもって一生懸命はつくしている人々の姿を認識させられた。この思いをもって天皇として大切な国民を思い、国民のために祈れたことは幸せであった」
このくだりには胸が熱くなるのを超えて涙がでてきました。
なんでしょう?
このお言葉から受ける涙がでるような感情は?
日本人全員の集合的無意識に直接うったえかける言葉なのだからでしょうか?
集団や民族には個人が意識していない無意識の領域があり、そこは民族全員に共通した意識(集合的無意識)があるとユングは言っています。
中国人には中国人の見えない共通意識、韓国人には韓国人の見えない共通した意識があるのです。
天皇陛下は私たちには普段見えない集合的無意識に直接語りかけることができる唯一の方なのだと、この日認識しました。
というわけで、2016年8月8日は心理的にも感情的にも大きく振れた一日だったのした。